疾患細胞バンクを活用したiPS由来希少疾患モデルの作製

 

希少疾患群、とりわけ超希少疾患と称される百万人に一人という確率で発生する疾患については、その患者数の僅少性や、多くの疾患が乳幼児や新生児に特異的であるなどの背景により、こうした疾患に対するメカニズムの解明や治療薬の開発が進まない現状があります。

 

従来の希少疾患モデル細胞の作製方法は、疾患動物を作製し、その細胞を取り出し使用する等の方法が採用されていましたが、フェノタイプの不完全性や、コストの大きさ、更には倫理性等における危惧が指摘されてきました。

 

英ケンブリッジ大学発のバイオ系企業であるDefiniGEN社は、iPS細胞から安定的に目的の細胞機能へ誘導する特殊技術を有しており、この技術を活用する事で、高性能かつ安価にヒト由来の希少疾患モデル細胞を短期に作成できる手法を確立しました。

 

DefiniGENにおける希少疾患モデルの作製プロセスは極めて明瞭で、

①疾患細胞バンク等から特定の疾患を有する線維芽細胞(Fibroblast)や血液細胞を入手する

②DefiniGENにてiPS細胞への初期化を行う

③DefiniGEN独自の分化誘導プラットフォーム「OptiDIFF」にて目的の細胞種への分化を行う④細胞を凍結バイアルに保管し、品質保証データと供にユーザーへ納品する

 

というプロセスを数ヶ月間のプロジェクトとして完成させています。

 

代表的な希少疾患モデルの作製プロセス

 

 

 

 

 

 

 

 

OptiDIFF Platform にて分化誘導される細胞種

 

また、分化誘導前のiPS細胞、もしくはその前段階の元細胞にも手を加えることがDefiniGENでは可能です。

 

例えば代表的なゲノム編集技術であるCRISPR/CAS法を採用した場合には、疾患遺伝子の導入(=健常細胞からの疾患モデル化)のみならず、疾患遺伝子の除去(=疾患状態から健常モデルを作製)も可能で、この技術を応用することにより、創薬研究において、疾患の有無のみが異なる同系(isogenic)の細胞を評価することが可能となり、化合物ライブラリーの再検証や、最適化を行ったリード化合物の薬効を直接確認する試験に利用することができます。

 

コンセプト、倫理性、納期、価格等のバランスが取れた本モデル製品は、既に複数の製薬メーカーに採用され、プロジェクトとして実際に希少疾患細胞の作製が始まっています。

また、成果物の権利は基本的にクライアント側に帰属します。加えて特定の製薬メーカーが独占的に扱うことも契約上の協議により可能となっております。

 

出発点となる希少疾患細胞の入手には、近年各国が保有する細胞バンク等からも調達が容易になり、例えば米国の公的細胞バンク「Coriell Institute」等においては、希少疾患に関連するキーワードを入力するだけで、その疾患における、どの種の細胞が保管されているかを確認することが出来るようになりました。DefiniGENでは、Fibroblastを出発点とすることを奨励していますが、こうした細胞バンクからの代理購入を行うことも可能です。

細胞リソースの選択や、最適な初期化の方法等は、事前にDefiniGENの専任スタッフが研究者様に直接ヒアリングを行い詳細を決定します。また、基本的にプロジェクトにおける課金方法はマイルストーン制としており、例えば初期化が成功した段階、小スケールによる予備的分化誘導が成功した段階、場合によってはゲノム編集が成功した段階、等において都度課金されるシステムが採用されており、依頼者側のリスクを可能な限り抑える仕組みとなっております。

 

成果物であるiPS由来疾患モデルは、最終的に高い解凍後の生存率が保証された凍結バイアルにて納品されます。一般的に肝細胞系の場合、1バイアル中に3~8 x 10^6個の細胞を持つバイアルが30~50本程度納品されますが、バイアルあたりの細胞数とバイアル数等は、予算規模に応じてお客様との協議によって決定ます。

 

DefiniGENは、内胚葉に特化した分化誘導を行っており、高い機能を有する肝細胞、膵β細胞、肺細胞、小腸細胞、胆管細胞等を得ることが出来ます。

 

本カスタム疾患モデル、および既に製品として販売している疾患モデル細胞の事例を下記に紹介致します。

 

  • Genetic cholestasis (PFIC and Alagille syndrome)
  • Wilson's disease
  • Hereditary hemochromatosis
  • Tyrosinemia type 1
  • Alpha-1 antitrypsin deficiency
  • Argininosuccinic aciduria (ASL)
  • Glycogen storage disease (GSD)
  • Crigler-Najjar syndrome
  • Primary hyperoxaluria type 1
  • Maple syrup urine disease (MSUD)
  • GSD type Ia (in metabolic control)
  • Familial hypercholesterolemia
  • Organic acidurias (except MSUD)
  • Cystic fibrosis
  • Gaucher disease

etc.